おまけの一個



「棗、なに黄昏てんの?」

えっ?

「わっ!吃驚した」

いつの間にか目の前に礼音がいた。

「どうかした?」

怪訝そうな顔をしている礼音に

「ううん、何でもない」

礼音にお弁当とお茶を渡し、食べ終わったお弁当箱を洗って

「じゃあ私も店にでるね」

「今はお客さんいてへんから。来たら大輔が声掛けてくれるから」

「そう?じゃあ」

座り直し礼音の食べてるのを見てる。

「ね、美味しい?」

がっつくように食べてる礼音に

「どう?」

お茶を一気に飲み

「不味かったら食わへん」

相変わらず可愛い気がない。

「大輔君はちゃんと美味しいって言ってくれるのに」

ぼそっと呟いたのが聞こえたのか

「そりゃ大輔には遠慮があるやろ。毎日弁当作ってもうてんのやさかいに」

「……」

そりゃそうかも知れないけど、女はお世辞でもいいから『美味しい』って言ってもらえたら嬉しいのですよ。

その辺の女心が全く理解できないのよね、礼音には。



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