おまけの一個
「ん?」
「べつに」
「また始まった。棗の『べつに』が」
「えっ?」
どういう意味ですか?
私そんなに『べつに』って言ってますか?
「お前さぁ、何か引っかかりがある時、自分で気づいてへんかも知れんけど『べつに』って言うてるで。子供の頃から」
「子供の頃から!って礼音」
よく見てる。
言ってる本人に意識がないのに。
お弁当箱の最後に残った玉子焼きを口に入れて
「そら、あの小学二年の時から見てるし」
礼音が隣に引っ越して来た時から? って…
もしかしたら礼音、あの時に私に一目惚れしたの?
「何ニタニタ笑てんねん、気色悪い」
き、気色悪いって…
「どうせ何や自分のええように解釈しとるんやろうけど俺が昔からお前を見てたんはおもろかったからや」
「は、はぁ?」
「俺より二つ年上やのにやることなすことめちゃめちゃやったやん。俺を迷子にまでさすし」
「あ、あれは誰も迷子になろうと思ってなったわけでは」
不可抗力です。
てか、そんな大昔のことは忘れようよ。