夜が明けたら、君と。
「平気。美味しいものお酒」
「呑まれてるじゃん。もう辞めたほうがいいよ」
「辞めない。飲む。そんで急性アルコール中毒にでもなって救急車で運ばれたら、少しはアイツだって心配するはずよ」
「自棄酒?」
「そう。そんで、戻ってきてくれるかも知れないじゃない」
「戻ってこないと思うよ。むしろ俺ならそんなことする女、引くけど」
「……うるさいわねぇ」
隣りに座った男はどこまでも現実を突きつけてくる。
知ってるわよ。
じゃあどうやったら取り戻せるの。
どんな私になれば良かったの?
転勤先に付いて行けばよかった?
あなたが居なきゃ生きていけないって、一年前に言わなきゃいけなかったの?
「死にたい……」
「へぇ」
隣の男は、断りもなく煙草を吸い出した。
ここ、喫煙オッケーだったか?
それにしたってマナーがなってないわ。
「死んでどうするの?」
「あてつけよ。一生後悔するといいわ」
「つくづく最低だねぇ。それじゃ振られるよ」
「うるさいわよ!」
私は大きな声を出して立ち上がり、男を睨みつける。その目から涙がボロボロと止まらないから威圧にはなっていないだろうけど。
男はそんな私を見かねたのか、さっきより優しい声で言った。