本当に好きな人【企画作品:完結】
すると
『…嘘じゃねえよ。』
志龍さんが私を優しい眼差しで見つめた。
『…写真集の撮影で
初めてお前と会った時
お前の純粋で濁りのない笑顔と雰囲気に
俺は年を忘れて一目惚れした。』
「……あの時。」
すぐにわかった。
だって私もあの時に一瞬にして
志龍さんの魅力に
とりつかれてしまった……。
志龍さんもその時から
私を想ってくれていたの?
「………っ。」
胸がいっぱいになって
再び涙が頬を伝った。
彼はそっと拭いながら話を続けた。
『…あの時のお前が忘れられなくて。
次第にもっとお前を
一人前のモデルに育てあげたいとか
他の男に目を向けずに
俺だけを見て欲しいとか
そんな想いが膨らんだ挙句
俺はモデルを辞めて、事務所も辞めて
お前の事務所に入って
お前のマネージャーに就いて
一生傍にいたいと決意した。
…その決断に俺は後悔していない。』
そうに言って彼は
クイッと口角をあげた。