本当に好きな人【企画作品:完結】
『…美華奈。』
志龍さんは話を続けた。
『今回の報道はお前の所為じゃない。
それに、社長は喜んでたぞ。
『人違いでも何でもいい。
ウチみたいな小規模事務所のタレントが
大手事務所の人気俳優と
スキャンダルになるのは
注目が集まるからおいしい話なんだよ。
特にあの夏海寿志とスクープとは
NAMIKAはでかした。』
って言ってたぞ?
まあ…社長があんな事言うぐらいだから
お前が気にする事はいらない。
後処理は俺達に任せておけばいい。
お前は週明けに本格復帰だから
それまで気持ちを落ち着けておけ。』
そう言って志龍さんは
『わかったら、適当に早く寝ろよ。
美容に悪いからな…。』
と、私の頭を軽く撫でた。
その手つきが優しくて
途端に抑えていた涙が頬を伝った。