真実アイロニー【完結】
何で最初に保健室が浮かばないんだろうか、俺は。
いつも小早川を見るのが、桜の木の下だったから自然とそっちと思ってたよ。
苦笑しながら、保健室へと向かう。
保険医はどうやら外に出ているらしい。
保健室前に不在の看板が下がっていた。
ガラガラと扉を開けて、中に入って辺りを見渡す。
奥にベッドがあって、俺はそこに向かった。
カーテンも閉じられたここは、少しだけ薄暗い。
「小早川ー」
ベッド前のカーテンを開けながら、中に入るとそこに小早川が横になっていた。
すやすやと眠っている小早川。
その顔は、普段見せている大人びた表情とはかけ離れていた。
無防備に眠る姿。
俺は黙ったまま椅子に座ると、息をつく。
手を膝の前で組むと、小早川の顔を見つめる。