真実アイロニー【完結】

「同情じゃない」

「じゃあ、何?」

「…教師のクセに情けないよ。
小早川を慰める言葉なんて思いつきもしない」

「……慰めなんていらない」

「だろうな。だから、何かかける言葉探してんのに…。
どれもありきたりな言葉ばかりでさ。
小早川には届かないって思った」

「……」

「きっと、琥珀君以外小早川の心に届かせる事は出来ないんだろうな」



きゅっと唇を噛み締める小早川。
翳りを見せる表情。


その、細い傷の残る手首を隠す様に反対の手で握り締めていた。



「俺、小早川が好きだよ」



目の前にいる小早川に気付いたら独白していた。
それは余りにも自然に俺から出た言葉だった。


驚いた表情の小早川は、俺の真意を窺う様に見つめてくる。

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