真実アイロニー【完結】
「ん。それじゃ俺次の授業あるから行くな」
「……」
返事はなかった。
それを大して気にもせず、俺は立ち上がると保健室を後にした。
シンっと静まり返る廊下を歩く。
小早川は告白した俺を、拒絶する事はなかった。
最低だって罵られてもおかしくない。
あんなタイミングで告白だなんて。
しかも、教師が生徒に。
それでも、言わずにはいられなかった。
切らないで欲しかった。
そうする為には、教師としての言葉じゃ届かなかった。
きっと、“俺”の言葉じゃないと届かなかった。
どうか、信じて。
俺の、想い。