真実アイロニー【完結】


「ん。それじゃ俺次の授業あるから行くな」

「……」



返事はなかった。
それを大して気にもせず、俺は立ち上がると保健室を後にした。


シンっと静まり返る廊下を歩く。


小早川は告白した俺を、拒絶する事はなかった。


最低だって罵られてもおかしくない。
あんなタイミングで告白だなんて。
しかも、教師が生徒に。


それでも、言わずにはいられなかった。


切らないで欲しかった。

そうする為には、教師としての言葉じゃ届かなかった。


きっと、“俺”の言葉じゃないと届かなかった。



どうか、信じて。
俺の、想い。



< 113 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop