真実アイロニー【完結】
「どうした?何があった?」
電話をかけて来た。
イコール、それは彼女の身に何かがあったって事だ。
何も喋らない彼女の奥からは、ガヤガヤと音がする。
どこか外にでもいるのだろうか。
「どこにいる?」
『……こ、うえん』
「公園?どこの?」
どこの公園だろうか。
小早川の家は確か、俺の最寄り駅から二つほど先だった。
薄い羽織りモノを着ながら、俺は慌てて玄関へと向かう。
通話をしたまま。
『……せん、せ。切っちゃった』
「え!?切った?」
靴を履いてた俺は思わず大きな声を出した。
切った?って、手首をか?
嘘だろ。まじかよ。
「切るなって言っただろ!おい、今からそこに行くから!
どこにいるんだ!」
『……駅から一番近い、公園』
「小早川の家の最寄りだな?待ってろ!」
通話を終えると、俺は玄関を飛び出した。
車に乗り込み、目的の公園を探す。
何してるんだよ、小早川。
切る前に言えって言ったのに。
切ってからじゃ遅いだろ。