真実アイロニー【完結】

「……それじゃあ」

「例えば、の話ですよ」

「……」



俺の言葉を遮ると、そう言った。


どういう意図でそんな事を尋ねたのか、彼女は答えるつもりがないみたいだ。

それならば。



「当たり前だろ。俺がちゃんと降って来ないか、毎日確認してやるよ」

「……よかった」



少しだけ目を細めると、ちらっと俺に視線を移した。



「私がいたって事を、先生が覚えていて下さい」

「……小早川」

「それじゃ、行きますね」



何か言おうと、口を開きかけたがそれは小早川によって遮られた。
俺の横をすり抜けると、彼女は校舎へと向かって行く。

< 143 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop