真実アイロニー【完結】
その間、特に教頭先生や校長先生から話をされる事はなく、ただ想いだけが募って行く。
それはもしかしたら、こないだの小早川の言動にも繋がってる様な気がしてならない。
気持ちばかりが焦る。
やっとその理由を知ったのは、衣替えが終わったぐらいの季節だった。
小早川と何度も話そう、そうチャレンジしたけど…。
何故かのらりくらりと交わされている気がしていた。
まるで、俺が聞きたい事をわかっているかの様に。
あれから注意深く小早川を観察していたけど、変わった事が一つだけあった。
無意識にピアスを触った後、決まって彼女はどこか苦しそうな顔をしていた。
理由なんてわからない。
だけど、少しだけ眉間に皺を寄せる彼女を度々見かけていた。
無表情で、きっと琥珀君の事考えてるんだなって今までは思っていたのに。