真実アイロニー【完結】
「保護者の仕事の都合らしく、来月中旬には新潟に」
「……新潟」
簡単に行ける距離じゃない。
新幹線で数時間はかかる。
だからか。
……だから、小早川はあんな事。
「報告が遅くなり申し訳ないと思う。
だが手続きが終わるまで、彼女本人に口止めされていてな…」
「いえ」
「無事に試験も通過したし、手続きも全て終わっている。
だから、後は引っ越し当日を待つだけだ」
「そうですか。今日本人と話してみます」
「そうしてくれ」
教頭先生は顔を俯かせると、
「早乙女先生の事は信頼してる様に見えたから…、残念だよ」
そう、ぽつりと呟いた。
「……ありがとうございます」
それ以上俺は何も言えなかった。