真実アイロニー【完結】
真実
席に戻って、HRを終えた後小早川の元へ挨拶に行く生徒がほとんどだった。
本当に一言だったけど、頑張れや、忘れるなよなんて言葉ばかりで。
聞いてるこっちまでも、温かくなった。
目を細めながら、俺は教室を出ると職員室へと向かう。
これで心置きなく小早川はあっちの学校に行けるだろうな。
二人で最後に話す事は出来なかったけど。
出来れば何か励ます言葉、かけたかったな。
でも、小早川にとったら俺の言葉よりもクラスメイトの言葉の方が心に響いたと思うし。
人は簡単に変わらないけど。
それでも、変わりたい。
そう思えば、どうにだってなるんだって気付いて欲しい。
小早川なら出来るよ。
俺はそう信じてる。
職員室に入った俺は先生方に挨拶をして、自分の席に着いた。
すぐに宇津木先生が俺に近寄って来る。
「早乙女先生」
「あ、宇津木先生」
「いよいよですか」
「……はい」
何も言わなくても、もうお互い何の事を言ってるのかわかってる。
教頭先生からその話を聞いた時、宇津木先生本当に驚いてたっけ。