真実アイロニー【完結】
「いなくなるってわかると寂しく感じるのは何ででしょうかね」
「……それは、きっとこう出来たのにっていう後悔があるからじゃないですか」
「成程。それはあるかもしれないな」
「面白い遊園地とかも近場にあり過ぎると行かなくなったりするじゃないですか」
「うん。いざ引っ越しってなるともっと行っておけばよかったなって思うのよね。
人間って身勝手ね」
「まあ、人間なんてそんなもんですよ。
後悔しない人なんていないですから」
「あら。なんか悟ってるわね。若いのに」
「いいえ、そんな事ないですよ」
「早乙女先生は後悔しないの?」
「え?」
宇津木先生は少しだけ首を捻る。
後悔?
俺が?
何に?