真実アイロニー【完結】
「早乙女先生、その笑窪を見られるといいですね」
宇津木先生はそう言うと、目を細める。
その瞳が“彼女を笑わせてあげて”そう言ってる様に思えて、俺は慌てて首を縦に動かした。
「は、はいっ!頑張ります!」
「ふふふ」
体を自分の机に戻すと、さっきの続きを開始した。
明日は小早川さんに話し掛けよう。
別の事件について、きっと誰も話さないだろう。
誰が知ってるかもわからないし。
教頭先生は確実に知ってるだろうけど、あの宇津木先生の口振りじゃ話すつもりはないのだろう。
無理に詮索はしない。
だけど。
もしも、小早川さんから話をしてくれるなら。
きちんと聞こう。
教師として、そして、一人の人間として。