真実アイロニー【完結】
「って、俺の話なんかどうでもいいか。
小早川さんは好きな食べ物とかある?」
「……」
「んー、じゃあ、好きな教科とかは?
あ。数学苦手ならいつでもどうぞ」
「……あの」
「ん?」
ニコニコして小早川さんを見ると、彼女は視線を俯かせたまま淡々と告げた。
「教室戻っていいですか」
「あ、うん、ごめんね。もちろん」
「……」
意表を突かれたけど、すぐに微笑むと取り繕った。
“彼女は全てを諦めてるのよ”
小早川さんの後ろ姿を見送りながら、俺は宇津木先生の言葉を思い出していた。