真実アイロニー【完結】
「あの授業はお互いを描くって授業でしょ?
だから、私だけが描くってのはおかしいじゃない」
「……」
「それが友達とかじゃなくてもね」
驚いた。
そんな事を思っていただなんて。
「えっと、じゃあ一緒に描けば絵を描いてくれるって事?」
「……」
もうそっぽを向いていたけど、これはチャンスだと思った。
俺が彼女に近付く、チャンスだと。
「じゃあ、俺と描かない?」
「……は?」
訝しげな顔でこっちを見る小早川さんに続けた。
「放課後、居残り決定。場所は美術室。今日から一緒に描こう」
「……」
「俺も一生懸命描くから、だから」
「……」
まだ喋ってる途中だったのに、小早川さんは校舎へと歩いて行く。
その背中に向かって、俺は声を張り上げる。