真実アイロニー【完結】
それから、少しだけ気を許してくれたのかわからないが、彼女は会話をすれば返してくれる様になった。
「俺の絵、そんな下手かな」
「一般的に見れば」
「まじか。凹むな」
「別にいいんじゃないですか」
「そうかね。まあ、俺の教科は数学だし。
そういえば、いつも外を見てるよね。あれって何で」
「……」
ぴたりと止まった小早川さん。
調子よくラリーが続いていたのに、突然それが終わって不思議に思い彼女に視線を移した。
―――――彼女は。
小早川さんは、窓の外をただ黙って見つめていた。
綺麗な横顔に思わず息を呑む。