真実アイロニー【完結】
「……空から降りて来ないかなって」
「降りて、来る?」
「うん」
何が降りて来るんだ?
そう思って、彼女を窺う様に見るけど固く口を結んだ彼女はもう何も喋らない。
「いつか、降りて来るといいね」
何故か、俺はそう言葉にしていた。
どうしてか、そう言った方がいいような気がして。
「……」
驚いた様に俺を見る彼女は、少しだけ顔を俯かせる。
「おかしな事言ってるなって笑われると思ってた」
きっと今まで、彼女はそんな反応ばかり受けて来たのだろう。
腫れ物扱いされて、避けられる彼女の、その言葉。
確かに、おかしいと思われても不思議ではない。
でも、そう言う理由があったんだろうって俺は思うから。