真実アイロニー【完結】
薄く色付いて行く。
―――――――…



それから、俺と小早川さんはほぼ毎日放課後残っては絵を仕上げていた。
今までの一ヶ月、丸々ブランクがあったから今月までに完成出来るか不安だったけど、このペースなら大丈夫そうだ。


今日は他にやる事があって、少し遅れると今朝彼女に伝えていた。
小早川さんはきっと、美術室でまた外を見てるだろう。


彼女の言う“何か”が降りて来るのを待っているのだろう。



「あ、先生!」


そう呼び止めたのは、小島さんだった。
あの日、工藤さんと険悪な雰囲気になって以来、積極的に話しかけて来る事がなくなっていた。


足を止めて、走り寄る小島さんに微笑みかける。


「小島さん」

「何してるんですかー?」

「プリント作りをしてたんだよ」

「ふうん、先生って大変ですね」


首を傾げながら、小島さんはふわふわの自分の髪の毛を指に巻きつけながら弄ぶ。
ははっと笑うと「まあねえ」なんて返す。


「小島さんは?」

「私はー、今日出された課題をやってました」


間延びした話し方で、小島さんはそう言う。
授業で出した課題の事か。

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