真実アイロニー【完結】

「偉いな」

「ふふ」


素直にそう声をかけると、嬉しそうに小島さんは笑った。
チークの乗ったピンクの頬が上がり、口元が放物線を描く。



「今日やった授業で解からないとこあるんで、教えて下さい」

「もちろんだよ、今日はちょっと予定あるから明日でいいかな?」

「はいっ」


ニコニコする小島さんと約束を取り付けると、俺は彼女と別れて美術室に向かう。

結構、待たせてしまった。
もしかしたら帰ってるかも。


そんな事を思いながら、歩く足を速める。
美術室の扉をガラっと開けて、彼女の存在の有無をまず確認した。


…………いた。



「ごめんね、待たせちゃって」



そう声をかけると、俺は早々に椅子を準備する。
やっぱり小早川さんは外を見ていた。


だけど、いつもと違うのはその手に携帯が握られているとこだ。
珍しいな、なんて思った。


そんな彼女はこちらに振り向く事なく、俺に話しかける。
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