真実アイロニー【完結】
「楽しかったですよ」
彼女の口から出たのは、予想外の言葉で俺は思わず目を見張った。
そんな俺に怪訝そうな顔をすると、彼女は言った。
「何か?」
「あ、いや、肯定されると思ってなかったから。
ちょっと驚いたっていうか」
「……どういう意味ですか」
いや、そう突っ込まれてしまうと何も言えなくなるんだけど。
授業の単位の為だけに、来てるもんだと思ってたから。
楽しさとか求めてない様に見えたというか。
「早乙女先生はどこか変わってるので、話してると面白かったかな」
「……そっちこそ、どういう意味だ」
「そのままの意味です」
「俺のどこが変わってるんだ」
わざと真剣な顔で尋ねてみると、彼女はそうだな、って腕を組んで思案した。
それから、首を捻って口を開く。