生意気な彼女
「わたしらしい……って、なに?」
サクラに、いつも言われてきたの。
『テキトーにやればいいのに』
『ハルカってば、ほんとマジメだよね』
『要領が悪いんだよ』
『もう少し、器用に生きれたらいいのにね。
あたしみたいに』
ヨウジくんの中にある「わたし」という人間が、サクラの言うような、そんな人間だとしたら。
「それじゃ、ダメなんだよ…。いや、なの…」
ぼんやりと滲んだ景色が、チクチクと痛む胸を締めつける。
自分の思うままに行動して、周りの人に上手に甘えられるサクラは。
人気アーティストのコンサートチケット。
並ばなくちゃ買えないスイーツ。
日本未入荷のバッグ。
雑誌に載った高価な香水。
ヨウジくん。
欲しいものを簡単に手に入れてしまうんだ。
サクラになりたいとは言わないけど。
サクラみたいな生き方ができたら、わたしは今ごろ何を手に入れてただろう、って。
ずっと考えてた。