生意気な彼女
「わたし、………わたしは、……っ」
こんなわたしを、見せたかったわけじゃない。
少しだけ勇気を出して。
いつもと違うわたしになりたかっただけ。
マジメとか、要領が悪いとか、不器用だとか。
そんなんじゃなくて。
サクラみたいに、もっと器用に。
もっと、単純に。
でも。
やっぱり、うまくいかなかった。
簡単には変われないんだ。
きっと、呆れてるよね。
絶対、嫌われた。
そう思ったら、涙が止まらないの。
「こっち、来て」
ヨウジくんがわたしの手を引いて歩き出す。
腹を立ててもおかしくない状況なのに、ヨウジくんは優しかった。
ときどき向けられる、帰宅途中のサラリーマンやOL、ショッピングを楽しんだ学生たちの視線からわたしを守るように歩いてくれている。
ごめんね。
ごめんなさい。
今は、そんな言葉しか見つからない。