生意気な彼女
「………好きな人が、……サクラと、腕を組んで歩いてるところを見たの。
もう……、ずいぶん前のことなんだけど」
ヨウジくんがどんな表情で聞いてくれているのか、気にはなるけれど。
わたしは視線を目の前の黒いマフラーに置いたまま。
「その人のこと、今でも諦められなくて。
ずっと、モヤモヤしてて。
気持ちを伝えたらスッキリするのかなって、思ったりするんだけど」
目の奥が、熱い。
のどが、熱い。
「サクラに対して、うしろめたいっていうか。
サクラは友だちだから……。なんていうか、罪悪感…みたいなものがあって…」
ぼんやりと滲む世界から逃げ出したいと思うのは、わたしの悪い癖。
いつも逃げてばかりいたから、サクラに嫉妬することしかできなくなってたんだ。