生意気な彼女
サクラにとってわたしは、友だちなんかじゃなくて、都合のいい人間なんじゃないか。
最近になって、そう思うことが増えた。
きっと、今日も。
「あ。もう着いたって。はやーい」
スマホを眺めていたサクラはそう言うと、いそいそとテーブルの上の香水をショッパーにしまう。
《ヒマ潰しのために呼び出された》
そんな言葉が浮かんでしまう。
「ごはん食べに行く約束してるんだけど、ハルカも行く?」
椅子に掛けていたコートに手を伸ばしたサクラが大きな瞳でわたしを見る。
「えっ?わたし、も?」
「うん」
「いっ、…いいよ、遠慮しとく!わ、わたしもこのあと予定あるし…っ」
だって、サクラの周りって、サクラみたいなタイプの人ばっかりだし。
もし相手が男の人だったら、わたしなんかお邪魔でしょ。
「そっかー。ざんねん。ヨウジくんも会いたがってたんだけど」