生意気な彼女
「そういえば、前に言ってたよね」
食後のコーヒーに口をつけたヨウジくんはそう言うと、オレンジの光を浮かべた瞳をわたしに向けた。
「え…っと、……なんだろ」
ヘンなこと言ってないといいけど。
内心ヒヤヒヤしながらヨウジくんの言葉を待つわたしは、手元の紅茶に視線を落とした。
「ずっと前に、さ」
「う、ん……」
「自分のことがきらい、って」
「………ぁ」
「今でも、そうだったりするの?」
「…………」
立ちのぼる湯気を目で追うと、その向こう側のヨウジくんと目が合って。
胸が、きゅうっと鳴いた。
『わたし、ほんとに自分の性格がイヤで。
自分がきらいで。ときどき、泣きたくなるよ』
いつだったか、そう漏らしたことがあった。
自分とサクラを比べて、ひどく落ち込んでいたときだ。
「今でも……?そうだなぁ。
……好きじゃない、かな。…でも、なんで?」