生意気な彼女
「あぁ……、うん。
なんか、さ。ずっと、気になってたっていうか」
コホンと小さく咳払いをしたヨウジくんを、オレンジ色の照明が優しく照らす。
言葉を選んでいるのか、ゆっくりと瞬きを繰り返すヨウジくんの姿はあまりにも綺麗で。
次にどんな言葉を聞かされるのか、そんな不安もどこかへ消えてなくなってしまった。
ヨウジくんはわたしの視線に気づくと、フッと口元を緩め言った。
「オレね、ハルカちゃんのこと、いい子だなぁって。ずっと思ってたんだよね」
「…………え?」
ヨウジくんの口から『いい子』なんて聞かされて、なんだか複雑な気分。
『テキトーにやればいいのに』
『ハルカってば、ほんとマジメだよね』
『いい子でいて、疲れない?』
サクラの言葉が、ぽんぽんと浮かんできたから。
だから、複雑なの。
『いい子』って言葉は、わたしにとって褒め言葉でもなんでもないから。