生意気な彼女

「…………そんなことで、いいの?」

目を丸くしたまま動きを止めたヨウジくんを眺めていたら、吹き出しそうになってしまった。


「だから言ったでしょー。くだらない、って」

ふふっと息をこぼした私は、その場にしゃがみ込み、さっきまで履いていたショートブーツをパンプスが入っていたベージュ色の箱に無理矢理に押し込んだ。


「あ、うん。……たしかに、言った」

くだらないお願いが、どうやら想像していたものとはかけ離れていたらしく、拍子抜けした様子のヨウジくん。

私と同じようにしゃがみ込むと、ははは、と小さく笑った。


………吐き出したい。

ヨウジくんになら、かっこ悪い自分を見せてもいい。


「あの、ね………」

「ん?」

「なんで、こんなくだらないこと…お願いしたかっていうと、ね……」


ぜんぶ吐き出して、スッキリしたい。

だって私。


前を向いて歩きたい。

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