生意気な彼女
「……好きだったんだよね、すごく。
一緒にいるとホッとしたし。ほんとにくだらないことでも、……どんなことでも、幸せだなぁって思えた。
だから、彼女になれたことが嬉しくて。
……めちゃくちゃ嬉しかったんだけど。
でも、それって、……私の勘違いだった」
ブーツを押し込んだ箱を持つ手が震えてしまう。
このブーツは、もう履けない。
あのスニーカーも。
ちょっと前に買った、あの靴だって。
あのひとのために買った靴は、ぜんぶ。
もう、いらない。
だって。
だって、あのひとには、
「………ちゃんとした、彼女がいた。
ぺたんこの靴なんか履かなくたって、あのひとのこと、見上げていられるひとが」
のどが熱かった。
鼻の奥が、ツンとして。
ただただ、胸が苦しい。