生意気な彼女
「背の低い子が好きだっていうのは、知ってたんだよね。私、170近くあるから、そのひととは目線がほぼ一緒で……。
私との身長差なんて、きっと、そこまで気にしてなかったと思う。でも、なんていうか……。
私が。気にしちゃってた、……っていうか」
好きだったから。
少しでも、あのひとの理想に近づきたかった。
くだらない。
ほんと、くだらないんだけど。
「そっか……」
「ふふっ。自分で言うのもなんだけど、かわいいとこあるでしょ?」
ヨウジくんに笑顔を見せると、ヨウジくんが静かに息を吐き出した。
白い息が、夜空に吸い込まれるようにふわりと揺れて。
それを追いかけるように私の吐き出した息もふわりと揺れた。
いつかは、消えてなくなる。
白い息が。
あのひとのことを想って吐き出した、白い息が。