生意気な彼女
「だからね、買っちゃった。今まで欲しくても手が出せなかったから。衝動買いってやつ?
高かったんだよ、マジで。一ヶ月分のバイト代じゃ足りなかった」
そう言って立ち上がった私は、
「ほら、見て。この靴ね、底が赤いんだよ」
ぴょんと、跳ねるように左の膝を曲げてヨウジくんに靴底を見せた。
「わ、……っ」
「お、っと……っ」
履きなれないパンプスのせい。
ぐらりと傾いた私の体を、ヨウジくんが咄嗟に支えてくれた。
「大丈夫?」
「うん。大丈夫、大丈夫。ごめんねー」
「びっくりしたー」
「私もー。超はずかしいんだけど」
そう言って笑ったら、私を支えてくれているヨウジくんが、
「いつか、慣れるよ」
そう言って笑ってくれた。