生意気な彼女
信号が青に変わる。
「さて、と。行きますかー」
ヨウジくんの腕に絡めた腕はそのままにして。
私は歩き出す。
「おなか空いたなー。ヨウジくんは?おなか、空いてない?
そうだ!なんか食べに行こうよ。私、おごるよ」
「えー、マジで?」
「うん。あったかいの、食べようよ」
今はまだ、ぎこちないけど。
履き慣れるころには、まっすぐ前を向いて歩けてる。
きっと。
「あー。でも、お金ぜんぶ使っちゃったんだ。
財布の中、空っぽ」
「…………」
「おなか空いたなぁ」
「…………ラーメンでいい?
オレも今月ヤバくて」
「えっ!?いいの?やったー」
きっと、前を向いて歩いてる。
【完】