生意気な彼女

ふたりの姿を見て思い出した。


「………そういえば」


そうだ。そうだった。

一緒に面接受けようよ、と誘われる少し前にサクラが言っていたこと。


『フラッと入ったコンビニで、イケメンくん発見しちゃったの。カノジョいるのかな。
あー、ヤバイ。付き合いたいっ』


今ごろになって気づいた。

そのイケメンくんっていうのが、ヨウジくんだったんだと。


「気づくの遅すぎ……」


ふたりの姿が人混みに紛れて見えなくなっても、胸の痛みはなくならなかった。

むしろ、酷くなる。


サクラもヨウジくんのことが好きだった。


ヨウジくんも、サクラのこと。

好きだったんだ。


わたしも。


「わたしだって……」

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