とろける小春
『今、若さを武器にしないで、いつそれを利用するの』と私を叱る姉さんに後押しされた一二月某日。
スキーウェアの魔法にかけられて誰もが眩しく輝き、そして実像の何倍も素敵に見えてしまう銀世界にやって来たというのに。

「私って、可愛くないし、人見知りだし、すぐに逃げちゃうし。そんな私だけど、今回ばかりは恋愛の神様のお慈悲が欲しかったな」

ため息をプラス一回積み重ね、再び松葉杖を睨みつける。
俯きすぎて痛くなった首をほぐすように視線を上げると、私の気持ちを逆なでするような輝く日差し。

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