とろける小春

晴れあがった空を病室の窓越しに見つめていると。
一瞬で私の心を揺さぶる声が、病室に響いた。

「小春! 会計は済ませてきたから、帰ろうぜ。タクシーなら下で捕まえられるらしいぞ」
「うん……」
「ふーん。ここに運ばれた時からずっとだけど、いよいよ落ち込みの女王の本領発揮か?」
「落ち込み……そんな……」

私をからかう篠原君の声に、『そんなことない』って言いそうになったけど、彼の顔を見た途端、口を閉じてしまった。
だって……見惚れるほど、格好いいんだもん。
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