甘々いじわる彼氏のヒミツ!?

「もしよかったら、名前を聞いてもいいですか?」


「うん。あたしは瀬名杏」


「あんって言う字はどうやって書くんですか?」


「あんずって書いて杏(あん)って読むの。だけど昔、その大っ嫌いな年下の男の子に『あんず』って言われてバカにされたことが今でもトラウマなんだよね」


「そうなんですか……?」


「うん。とにかく、その男の子ってば徹底的にあたしに対しては意地悪だったから。引っ越してくれて大喜びだったんだけど、またこの街に戻ってきたみたいだし……。最悪でしょ?」


「そうですね」


「あっ、そういえば、あなたの名前は?」


あたしがそう尋ねると、彼は一瞬だけひるんだように見えた。
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