好きな人はニセ彼女。
__何分かして城田さんが落ち着いたところで声をかけてみた。
「………どうしたの?」
『すいませんっ、ちょっと昔のこと思い出しちゃって……っ。
あ、でももう平気だから!ごめんねっ』
昔のことって、“無駄にした”時の話なのだろうか。
どうやったらその話を思い出すのかは、全然オレには分からなかったけど、
「……ん」
ただただそう呟いて、城田さんの頭をもう一度撫でた。
撫でるとわずかに笑顔になる、彼女のことを見るために。
……今日知った、泣いた彼女のことは
見たことの無かった城田さんの素顔とかなのかな。