好きな人はニセ彼女。
『準備、頑張ってるなー、お前の彼女』
にしっと子どもっぽく笑った後、持っていた荷物を床に置いて、風斗は溜め息をついた。
めずらしいな、風斗にしては。
基本風斗はよく笑って、落ち込んだりしてるところなんて見たこと無い。
そんな彼が、溜め息とか………。
「…………どーした?」
『………あぁ、最後なんだよなーって』
………“最後”?
よく分からない言葉に思わず首を傾げた。
体育祭なら来年もある。
なにが最後なんだろうか。
「……………風斗?」
『………俺さぁ、転校するんだよ』