好きな人はニセ彼女。


『………奈菜、保健室行ったけどいいの?』


「……は?」



彼女は首を傾げる。

まるで、知らなかったの?と、言うように。



『さっきの女子の競技で、盛大に転けたのあの子』



なにやってんだよ、城田さん。

転けたのか、やっぱり。


なんて思いつつ、慌てて走り出しそうになった。



「岩田さん、ありがと!」


『行ってらっしゃい』



そう言った岩田さんは、優しそうな目をして笑ってた。

彼女はきっと、教えてくれたんだよな。



オレが城田さんと会えるように。







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