好きな人はニセ彼女。
♯82人きり。


***


「……また、転けたの?」


『ま、また!?そんなに私こけてないよ!』


「いや、転けてるから」


『…ぅ、』




城田さんはどうしても“よく転ける”ことを認めたくないみたいで、

『転けてない、転けてない……』と、呟いてた。



ほんっと、面白い。



「夏目くん、今大丈夫なの?」


『なにが?』


「種目とか」



城田さんの足の手当をしながら、そんな会話をする。

………でも、なんか違和感。



「種目は……平気。

城田さんは?なんかあったんでしょ」


『………………え?』


「元気ないけど」



ふいに零れた言葉で、彼女は目を丸くする。

バレてないと、思ったのか。



いつもより笑ってないじゃん、だって。

分かるよ、そんぐらい。



…………いい加減、頼れよ、ボケ。






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