好きな人はニセ彼女。



***

《奈菜side》 



『……夏目、ちょっといい?』



耳元に残った大好きだった声。

瀬戸はなんでか夏目くんを呼び出した。



委員会が終わって、私が夏目くんと帰ろうとしたときに。


………おかげで一緒に帰れなかったじゃんか。





(瀬戸の馬鹿…………)


もう好きじゃない。そう分かってるのに、

“好き”って言えなかったことが心残りで。



彼のことを見る度、なんだか胸が痛む。

本当にもう、好きじゃない。




好きだから、胸が痛むんじゃない。

そのぐらい私でも分かる。






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