好きな人はニセ彼女。
《奈菜side》
ドキドキ…と、脈が早く打つのは彼の音か、
それとも私なのか。
『ごめっ……、ちょっと忘れてた……』
恥ずかしそうに目をそらす夏目くん……じゃなくて蒼空。
……良かった、恥ずかしいと思ったのは私だけじゃなかったんだ。
………でも、落ち着いたなぁ、あの場所。
心臓には悪いけど。
『………ごめん、帰るよね』
「えっ?あ!ううん!!大丈夫!」
引き止めてごめん、と申し訳なさそうにする彼は本当に優しい。
………もっと、話したいことがある。