キミノ、テ。
朝のモーニング時には、毎日同じ顔ぶれが並ぶ。
いつも、モーニングのAセットを頼む老夫婦は、今日も仲良く現れていた。
いつものように智子は老夫婦に話しかけた。
「ほんといつもいつもありがとうございます、尾崎さんたちが来なくなると、このお店は潰れちゃうわね。」
クスクスと笑いながら話す智子に、作り笑いを浮かべ、
老夫婦のおばあさんが口を開いた。
「智子さん、頼みがあるの。頼まれてくれないかしら。お願い。」
いつもと様子の違う彼女に智子は少しおどろいたが、
いつも来てくれているお礼にと、何?と聞き返した。
「1万でいいの、貸してくれないかしら?」
智子は思わず固まった。