幸せだって、笑ってよ。
「どうする?って幹事に聞かれたから、参加するって言っといた。」

「え? 嘘?」

「だって、行きたいだろ?」

「そりゃあ、そうだけど.....。」

「てか、俺の立場も考えてよ。奥さんを家から出さない束縛夫みたいに言われたら、後々、面倒じゃん。」

「.....わかったよ。」



こいつはいつもこうだ。

最終的には自分のことしか考えていないお子様。

どうしてこんな奴と結婚したんだろう。



って、今さら悩んでも仕方がない。

送別会まで、あと一週間。

とりあえずは覚悟を決めよう。



私が誰の奥さんかは、すでに社内では周知の事実だ。

知れた顔も多いだろうし、今から誰かを口説こうとも思わない。

老けていようと、醜くなっていようと、さして影響はないはず。



なのに、考え過ぎ。

メールが来たくらいで、浮かちゃってバカみたい。

冷静になれば、懐かしい顔に会えるのはとても嬉しいこと。

山田さんにお別れも言いたいし、楽しまなくちゃ勿体ない。
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