幸せだって、笑ってよ。
開き直って迎えた当日、覚悟は決まったはずなのに、ドキドキが止まらない。

もちろん、目的は送別会だけど、そこにはオプションとして大好きだった彼との再会がついて来る。

加えて、何年かぶりに一人で遠出するだけでも、私にとっては大冒険。

いろんなプレッシャーでパンクしそうだ。



だけど、それを瞬時に取り払ってくれたのは山田さん。

本気とも冗談とも取れるツッコミを、ここぞとばかりに柔らかな関西弁でまくし立てる。



「相変わらず、べっぴんさんやなぁ。いや、人妻になって、更にええ感じに熟って来たんと違う？」

「何言ってるんですか？」

「だって、悔しいやん。俺のもんやったのに。」

「ははは.....確かに。山田さんの部下でしたから。」



同じ部署で働いていた仲間達に囲まれ、笑っているうちに緊張も解れて来た。

現役女子達の美しさには到底及ばないけど、おばさんになってしまった私を受け入れてくれる仲間がいることが嬉しい。

お腹が出ちゃったり、髪が薄くなったりしている同期さえ愛しく思える。
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