姉の身代わりでも
見てくれない彼
「三宮さん相変わらずかっこいいですよね~。でも、何でいっつも告白断っちゃうんでしょうか」
帰る為に支度をしていると、後輩ちゃんが残念そうにため息を着くけど。それはきっと、彼に関わる多くの人が抱く疑問に違いない。
仁史は中学生の頃からは信じられないほどかっこ良くなった。180の長身に引き締まった体。整った顔立ちだけど今は精悍さも加わって、男性の色気すら感じさせる。
営業成績だってこの支社の中で五指に入るし、近々主任に抜擢される噂もあって、信頼度も相当なW大卒のエリート。性格だっていい。そんな彼がモテないはずはないけど、中学を卒業して以来彼に恋人がいた気配はない。
私は……私だけは、その原因を知ってる。
ロッカールームに備え付けられた鏡で、自分の顔を眺める。
フワリと緩く巻いた栗色の髪。ピンク系が多めのお嬢様ふうメイク。服はOLに人気の大人っぽいブランドもの。
そこにあったのは、姉のコピーである私。10年前から、仁史の側にいるために必死で努力した末の姿だった。