オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
0 運命共同体
【プロローグ】 希和side
逢いたくて、逢いたくて、
たった1秒でいいから逢いたくて。
澄ました顔でもギロリと睨んだ顔でも、
怒り心頭の阿修羅相でも構わない。
遠くから一瞬眺めるだけでもいいから
彼の顔が一目見たくて。
嘲笑うような声音でも
脅すようなテールボイスでも構わない。
ドア越しのくぐもった声でもいいから
彼の生声が聴きたくて。
冷視線や罵声も覚悟の上で、私は逸る気持ちで向かった。
―――――彼のマンションへと。
再び、採用して貰おうなんて虫が良すぎる。
でも、後悔したくない。
空腹と寒さを堪えながら必死に念じる。
心が折れる前に、どうか彼に逢えますようにと。
そして、その時は…………訪れた。
相変わらずビシッとクールに着こなすスーツ姿。
長い脚ご自慢の大きなストライドで優雅に歩く姿。
高級フレグランスの爽やかな香りを漂わせ、
色気のある大人の男のオーラを纏い、
真っ直ぐ、私のもとへ………と。
逢いたくて逢いたくて、
私をここまでつき動かした人物……その人が。
「きっ………京………夜…様」
こうして再開した私達は、
彼の思わぬ一言で意外な方向へと動き始めた。
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