オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
俺は頬を緩ませ、優しく彼女の頭を一撫でする。
『好きだ』とか『愛してる』なんて安っぽい言葉、
彼女に言うのは失礼な気がした。
今まで彼女が捧げて来た時間を考えれば
そんな一言では済まされない。
この先の俺の人生の全てをかけて
彼女への想いを捧げよう……そう思った。
潤んだ瞳でじっと俺を見据える彼女。
そんな彼女の瞳に吸い込まれるように見つめる。
そして、俺はゆっくりと彼女に近づくと……。
両手をギュッと握りしめる彼女。
黒目がちな大きな瞳に俺が映っている。
俺はソファの背もたれに右手をついて、
更に間を詰めるように近づくと……。
既にしっとりと濡れた長い睫毛がゆっくりと動く。
俺はそれを合図に、
彼女の唇にほんの少し触れるだけのキスをした。
生まれて初めて『キス』をしたいと思った。
世の男共が騒ぎ立てる気持ちが今なら解る。
彼女とは何度もキスをしているが、
きっと『キス』だと言えるのは今のが初めてだろう。
こんなにも溢れるほどに誰かを愛おしいと想うなんて……。