オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


順調にイベントが執り行われ、

もうじき俺の出番がやって来る。


俺は顔をステージ上に固定したまま

視線だけ隣りにいる希和に移すと――――。


「京夜様」

「ん?」

「私は袖から、凛々しい京夜様を見ていますから」

「…………ん」


小さな声で呟いた彼女。

俺と同じくステージ上をじっと見つめていた。

さすがに秘書を連れてステージ上には行けない。

記者会見でも無いのだからと自分自身に言い聞かせた。


そして―――、


「それでは、今回の陰の功労者でもあります、御影京夜さんのご登場です」


司会者の声に反応するように、一瞬だけ希和の方へ振り返り


「行って来る」

「はい、行ってらっしゃいませ」


柔らかい笑みを浮かべる彼女をその場に残し、

俺はステージへと向かった。



司会者の紹介と共に軽く挨拶をし、

今回の独占販売に至った経緯をサラリと話す。


そして、会場のお客様に微笑むように会釈し

一旦、イベントは幕を下ろした。


そして、その後すぐにステージ上は販売ブースへと切り替わる。

俺目当ての客がいる事も承知の上で営業スマイルを顔に貼り付け、

暫くの間、天宮凪彩と共に商品の販売を行った。


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